先日、外部の木の仕上げについて住宅業界専門誌「新建ハウジング」さんの取材を受けたものが記事掲載されました。
目次
健康・エコな家づくり -木のチカラを再考する-
掲載記事は、新聞形式の新建ハウジング2020年10月号の付録の別冊雑誌「ワンテーママガジン」の中で、特集「内外装で生かす木材のチカラ」で4ページに掲載されています。
残念ながら本誌は一般書店には並ばず、住宅業界の方で定期購読されている方だけがご覧いただけます。
新建ハウジングは基本、月3回発行される業界新聞ですが、3回に1回の月末誌にはこのムック的な別冊「ワンテーママガジン」が付く少し面白い業界紙です。気になる方は一度お試し購読されてみてはいかがでしょう。
今回の特集では、全国の地域工務店の諸先輩方に当社も混ぜていただいて、自然素材の木材を内外装仕上げとしてどう生かすか、メンテナンス性やデザイン上の工夫のノウハウを交えて実務レベルで詳細に解説されています。
意匠性と機能性を満たす木材の使い方
取材を受け、その後に原稿のやり取り、図面や写真をお送りし、大分ボリュームがある内容でしたので、さてどんな紙面にまとめていただいたのだろう、何がバッサリ削られてるだろう(笑)と私も読者目線で読ませていただきました。
取材の中でフォーカスされたのが、当社が外部で使う木の仕上げとして以下の項目で、どのようなものを、どのように、施工上の工夫などを上げながらまとめていただきました。
- ウッドデッキ
- ウッドフェンス(板塀)
- 外壁や戸袋の羽目板張り
- 窓廻りの三方枠、霧除け庇
ウッドデッキ
ウッドデッキには、当社でもデッキ材として使い始めて10年の実績がある「エステックウッド」を解説。エステックウッドは国産の杉材を窒素加熱処理して耐久性を飛躍的に高めた高耐久木材。しかも一切の薬剤を使っていないノンケミカル。素材が天然の杉ですので、柔らかな風合いや素材感はそのままで安心して長期に渡って屋外にも使えます。
ここ新潟は冬に雪が降り、屋外のウッドデッキは雪に埋もれ、特に外部のデッキ材としては劣悪な環境で、残念にも10年と持たず朽ち果てるデッキも散見しますので、デッキ材の選定と施工上のノウハウも大切になってきます。
このエステックウッドを使ったウッドデッキの施工方法、そして気になる経年変化や耐久性の追跡調査をして健全性を確認した様子も掲載されています。
自然素材の杉ですので、色はシルバーグレイに退色し木の夏目(白太)部分は痩せて浮造りのような表情になりますが、それも自然素材の経年美でよいものです。素材として全く変化しない方がむしろおかしい、素材として完璧ではないがそれで充分。どこか日本のわび・さびを垣間見るようでそれも日本らしい。
エステックウッド以外にも米杉(ウエスタンレッドシダー)の施工例と経年劣化の追跡も原稿で上げてましたが、そこは紙面の都合でカットされたようです(笑)
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ウッドフェンス(板塀)
外部のフェンス材にもデッキ同様に長期のメンテナンスフリーと自然素材の風合いを両立できるエステックウッドを使用しています。
ウッドフェンスの施工方法としては、フェンス本体は耐久性の高いエステックウッドを使いつつも、地面に接する支柱部分に溶融亜鉛メッキ処理をしたLアングル(等辺山形鋼)を使うことで、地面に木を接触させず、かつ、将来的なメンテナンス時のフェンス材の交換にも対応できる施工上の工夫を掲載。
外壁や戸袋の羽目板張り
外壁や戸袋には、杉や信州唐松を使った納まりを掲載。外壁廻りを野暮ったくせずスッキリ異素材と取り合うためのディテールも図面と合わせて掲載。
木を使いながらもデザイン上も引き算をして綺麗に見せる工夫もしています。勿論、建物本体の外壁ですので完成すると見えませんが防水上の配慮も仕込んでいます。
窓廻りの三方枠、霧除け庇
建物の外観をデザイン上うまくまとめるにはいくつか建築的な方法論がありますが、その一つが”窓”。普段から特段個性を主張しようという自我はありませんが、外に並ぶ窓と窓の関係性を整理したり、サッシをサッシのように見せないことで”木の家らしさ”を表現できないものかと考えた実例を図面と写真とで紹介しています。
窓には普段から標準仕様で高性能トリプルガラスの樹脂サッシを使います。樹脂サッシは元々枠廻りがアルミサッシに比べゴツいので、ややもすると窓廻りが樹脂サッシのそれとわかるゴツさを主張してしまいます。
そこでこのサッシ廻りに、小庇となる霧除けを兼用する木枠を三方枠として回すことでサッシ臭さを消しています。
また、窓と窓とを三方枠や羽目板で繋げることで、大らかで一体感ある外観を作るようにしている事例も紹介。
最後に
木材を使った木の仕上げは、その自然な風合いと、時間と共に変化する経年美がよく、長く暮らす住宅の素材としては素朴ながら心地よい材料だと思います。
一方で、自然素材であれ工業製品であれ、過酷な自然環境に曝される外装材料には効果的な使い方や、メンテナンスを考えた施工が求められます。
自然素材である木の仕上げを使うことは、我々工務店や大工が最も得意とすることでもありますので、これからも木を生かす仕上げの技術やデザインを探求していきます。