諏訪町の家

準防火地域に建つ木の家

準防火地域に建つ諏訪町の家は、外壁や窓などの外部部材に不燃化が求めれるため、木を大胆に使うことが制限される地域。そのままでは不燃材で覆われた無機質な建物となってしまうため、法的制限はクリアしつつ、いかにして木の家らしい佇まいを造っていくかを考えた住まいとなっている。
 
具体的には、法的に不燃化が求められる延焼範囲を不燃化し、不燃化の制限を受けない範囲に木を使用した。また外部装飾として許される範囲で木材を使用し木の家らしさを表現した。
 
また、この地域は、歴史的景観を守るための景観条例が掛かる地域でもあり、外観の形状、色などの制限を受けるため、モダンすぎる意匠や奇抜な色使いを避け、街並みに馴染むよう切妻屋根を持つ伝統的な外観とした。
 
一方、生活に目を向けた際、積雪量の多いこの地で冬場の車の乗り降り、除雪作業、玄関までのアクセスなど雨や雪でも快適に出入りが行えるよう、建物一体として造るカーポートを前面に配した。
 

住宅密集地でも独立した庭と明るい室内を獲得

プランニングに当っては両隣に隣家が迫る立地の中で、プライバシーを確保した”守られた庭”を計画した。リビングからデッキを通じて繋がる庭は、アウトドアを楽しむ建て主がBBQや植栽を家庭でも楽しめる場となった。
 
また、建て替えであった新しい住まいでは、居間に明かりがに全く入らない既存住宅の不自由を克服するため、隣家による日影の影響を最小に押さえた平面計画とすることで、自然光を室内に取り入れた明るい住まいとなった。
 

親と同居する最小限ハウス

親と同居しながらも大きな家は不要という建て主の希望を設計に反映すべく生まれたプランは延べ床面積30坪。親含め5人で暮らす住まいとしては最小クラスの規模となる。
 
余計な動線や余剰空間をそぎ落とし面積削減を図ると収納率が低下しがちとなる。そこで、高低差を設けた和室の小上がり部分に収納を設け、また壁面全面を収納とするなど、造作家具を活かすことで収納不足を補う工夫を凝らしている。
 
コンパクトな空間は結果的にひとつながりの一室空間となる。そこへ合理的に収納家具を造り付け、断熱性を高めた躯体に高効率な床下エアコン暖房システムを導入することで効果的に全館空調を実現している。
 

主な仕様・仕上げ